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硬膜外血腫ってどんな病気|症状・原因・検査・診断方法
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頭を激しく打ち、頭痛やふらつきをした経験はありませんか。
頭を激しく打ったことによって、頭蓋骨が骨折し脳を保護している硬膜の血管から出血して頭蓋骨と硬膜の間に血腫(血の塊)ができてしまうことを「硬膜外血腫」といいます。出血の量は人それぞれで、少量の場合は数か月したら脳内に吸収してなくなるとされていますが、出血量が多いと最悪の場合には、「死」に至る危険性があります。
今回、硬膜外血腫について詳しく説明していきたいと思います。
硬膜外血腫とは
脳は3層の膜と頭蓋骨から保護されており、保護している3層の膜は内から軟膜・クモ膜・硬膜と形成されています。1番外側にある硬膜と頭蓋骨の間に血腫(血の塊)ができることを硬膜外血腫といいます。
頭部外傷による硬膜外血腫の症状は外傷を起してから6時間以内に症状があらわれてくるとされているため、6時間以降に急激に異常があらわれるケールは少ないです。
硬膜外血腫の原因
硬膜外血腫の主な原因は交通事故や転落による頭部損傷、衝突の多いスポーツなどといった、強い衝撃による頭蓋骨骨折からの硬膜動脈または頭蓋静脈洞が損傷する事で起きるとされています。
発症年齢は10代から30代の若年層に多く、2歳児以下の乳幼児や65歳以上の高齢者には少ないとされています。血腫の好発部位は中硬膜動脈が通っている側頭部や頭頂部が最も多く、続いて前頭部・後頭部・後頭蓋窩にも発生します。
硬膜外血腫の症状
硬膜外血腫の初期症状は、血腫により脳が圧迫されて頭蓋骨内側の圧が高まり、激しい「頭痛」や「嘔吐」があらわれ始めます。
また時間経過とともにあらわれる症状として、「上下肢の麻痺」や「瞳孔の散大」などの症状があらわれてきますが、出血量が多く場合だと脳幹部まで血腫が進んでしまうため、「意識喪失」などといった意識障害の症状もあらわれます。
硬膜外血腫の検査・診断
主にCT検査やMRI検査による画像診断が行われます。CT検査やMRI検査では、頭蓋骨骨折の確認や硬膜下血腫・脳挫傷などの合併症がないか確認し、同時に硬膜外血腫の状況を把握するために行います。
少量の血腫の場合は数か月間経過観察を行い、様子をみることが多く、血腫が自然に脳に吸収され消失するケースが多いとされています。しかし、画像検査によって出血が多く血腫の厚さが1cm~2cm以上の場合は手術を行うとされています。
頭部外傷の重症度を表す尺度として使われるのが「グラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale: GCS)」です。これは国際的に広く利用されている意識障害の評価方法の1つで「開眼」「言葉の応答」「運動機能」の3つの要素から患者さんがどれくらいの重症度であるか診断しそれぞれの点数の合計で意識レベルを測定する物とされています。
しかし近年では同じような意識障害を測る尺度として「ジャパンコーマスケールJapan Coma Scale:JCS」を用いられることが多いとされています。
硬膜外血腫の治療
硬膜外血腫の治療は血腫の大きさと症状によって、治療方法が変わってきます。
治療方法は「薬物治療」と「外科的治療」の2種類を使用した治療が行われます。日本神経外傷学会の重症頭部外傷治療・管理のガイドラインでは、血腫の厚さが1~2cm以上あるいは血腫の出血量が20~30ml以上の場合は原則手術を行うとされています。
また、神経症状がない場合については厳重な監視下で保存的治療を行うこともありますが、運動障害や意識障害などといった神経症状が進行していて悪化している場合は緊急手術が適用となります。
外科的治療での主な手術方法は全身麻酔による「開頭血腫除去術」です。脳の損傷が少ない硬膜外血腫については、この開頭血腫除去術のみ行われ予後経過観察になりますが、脳に損傷が中等から重度の場合は、開頭血腫除去術と薬物治療の両方を使った治療になります。薬物療法で用いられる薬は脳圧降下剤である「マンニトール」や「グリセオール」を使われます。
まとめ
硬膜外血腫の主な原因は交通事故や転落による損傷などといった、強い衝撃による頭蓋骨骨折からの硬膜動脈または頭蓋静脈洞が損傷する事で起きるとされています。発症年齢は10代から30代の若年層に多く、2歳児以下の乳幼児や65歳以上の高齢者には少ないです。検査・診断方法はCT検査・MRI検査による画像診断によって行います。
CT・MRI検査による画像診断は血腫の部分は白く映し出され、頭蓋骨の骨折や硬膜下血腫・脳挫傷も同時に発見することができます。硬膜外血腫の治療は2種類あり「薬物療法」と「外科的治療」を使います。
硬膜外血腫による脳への損傷が比較的軽度の場合で治療の効果が見込めるものについては、外科的治療の「開頭血腫除去術」を行いますが、脳への損傷が中等度から重度の場合は薬物療法と外科的治療の両方を使用した治療を行います。
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